灰燼に記す

アイマスPの雑記。不定期更新

[短編]月の裏側

 今夜は満月だ。月は、辺りの星々を霞ませるほど、それでいて静かに輝いて、私の帰途を照らしている。

 月明かりが照るのみの宵闇。跫音が響くのみの静寂。それらは私を幾許かの感傷に浸らせ、感傷は私を詩人にしてしまう。今日の仕事は上手くいって良かったとか、でも危うくバレてしまうところでしたわとか、そういった何気ない回想はいつものこと。でも今日は、何故だかもっとキザなことを考えてしまう。例えば、初めてオーディションに合格したあの日の帰り道も、こんな風に満月を見上げていたなぁとか、私はあの時から大きく変わっていっているけれど、月は変わらずに輝いているなぁ、  とか。

 

 月は、私に縁深いものであった。アイドルとして歌った初めてのソロ曲。私というアイドルを知ってもらう為の、大切な、とても大切な曲、『ムーンゴールド』。   その歌で私は、月と形容されている。なにものにも負けない輝きを放つ月であると。星々と共に輝く月であると。

 私はそんな、月のように輝くアイドルになれているのだろうか。今夜の私は、どうしても物思いに耽らねば気が済まないらしいなと思いつつ、私は『ムーンゴールド』の歌詞を思い出して、噛み締める。

 ……月とは、なにも良い意味だけを持つわけではない。歌詞の中でも、ひとりで強がっている姿が、青空に孤独に浮かぶ月に重ねられていた。確かに今の私にはまだそういう面があるけど、それを大事にしたくはないと思う。それに、「月のように輝く」なんて言ったけれども、月の輝きは月自身の光ではない。太陽に照らされて、その光を反射しているだけ。本当の月は、ゴツゴツした岩の塊でしかない。私が月であるならば、それもプロデューサーや劇場の仲間達、社長や小鳥や美咲、その他にも沢山の人の支えがあって、初めて私はアイドルとして輝ける、そういう意味に解釈出来るけれど。出来るのだけれど……

 夜空の下にあっても孤独な月は、不安に思う。

 月の輝きは、月自身の輝きではない。私を応援してくださるファンの皆様や、劇場に来てくださる他のお客様には、きっと私が輝いて見えているだろう。でも、それは違う。私の輝きは、私自身の光ではない。本当の私は、商店街のお肉屋さんの娘でしかない。セレブであるという嘘とそれを信じる人々が、私を輝かせているに過ぎない。そんな気がしてきてしまう。

 私はそうやって嘘をつき続けている。アイドルになる前も、なってからも、今まで、ずっと。私はそんな、月のように輝いている自分を責め苛む。でも、人は真実だけでは生きられないとも言うではないか。誰もが皆、本当の自分をひた隠し、数多の仮面を使い分けて、日々を生きているではないか。貴音も「人には誰でも、秘密が一つや百個、あるものですから」と、いつだったか語っていた。私、いえ、わたくしは今のままでも良い。そうに決まっていますわ。

 本当は分かっている。私は貴音とは違う。彼女の言う「秘密」と私の「嘘」は、どこがとはハッキリと言えないけれど、何かが違う。

 月は、変わらず静かに輝いている。私が月であるならば、きっと私がどれほど不安を感じていても、弱気になっていても、私は輝いて見えるのだろう。そして、アイドルである私には義務がある。私が輝いていると思ってくれている人の期待に、私は応えなければならない。私は輝き続けなければならない。

 それは少し大変なことだけど、でも『ムーンゴールド』は私に教えてくれた。たまには甘えても良いということ、強がって居続ける必要なんてないのだと言うこと。だから今日は、ちょっとだけ、甘えてしまおう。

 私の、私だけの、とびっきり眩しい太陽に

 

「もしもし、エレナですの?今、お時間少しよろしくって?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クソ真面目にSSを書くのが恥ずかしくって、ちづエレオチでネタだった事にします。あっしゅです。

最近ツイッターで見かけた千鶴さんの二次創作が大変良かったので、千鶴さんの話がしたくなってしまいました

 

その2次創作とは全く関係ない話なんですけど、全国キャラバン編の千鶴さんのストーリーがもうめちゃめちゃ性癖にぶっ刺さってヤバいのですわ

見て(グリマス日和 -ミリマス・ミリシタ情報まとめ- : 【グリマス】765プロ全国キャラバン編 二階堂千鶴ショートストーリー)

いや〜良いですよね……こういうシチュエーション、憧れちゃう……追いかけてえ、追いかけてえよなぁ!

やっぱこう、近くに喧騒があるんだけれども、それでいて静寂に包まれた2人きりの空間があるというのは?その対比は?めっちゃエモ?でしょうかぁ?って話ですわ

 

そういうところですのよ。公に見せない顔があって、それを自分だけが知っている……そういったものに人間(クソでか主語)は弱いんですの


ギャグ要素として消費されがちですが、千鶴さん本人は真面目にセレブキャラを貫き通そうとしていますし、なんだかんだプロデューサー含め誰も彼も騙せているのが現状です。

でも、ガチ恋のオタクとしては妄想してしまう訳です。千鶴さんが、いつかプロデューサーに真実を打ち明ける日が来るんじゃないか、とか。

 

そうじゃなくっても、何かのキッカケで二階堂精肉店が千鶴さんの実家だってバレたりしたら、どうなっちゃうだろうとか、考えちゃいませんか?多分アイドルもファンも大して気にしないとは思うけど、千鶴さん本人には「今までみんなを騙していたのがバレてしまった」という重圧がのしかかる訳で……良いですね。そういうの好きです私。

 

茶番のSSに本気出しすぎて疲れてしまったので今回はここまで。そのうち、もっと真面目に千鶴さんの話します。